『すふらんのdialog』 ここは来てくださる皆さんと私の大切な出会いの場所 新田先生の作品『春を抱いていた』を中心に BL作品・声優さん・個人的趣味を綴っています

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今日は駄文なSS

2015 - 11/25 [Wed] - 10:43




皆さんこんにちは(^o^)
ハッキリとしないお天気が続きますね。
いよいよ冷え込んできそうなので、お互い風邪をひかないように気をつけましょう。

さて、今日は私の昔のSSをもうひとつ再掲載させてもらおうと思います。
以前某さまのサイトにさしあげたものですが、既に放置状態もいくひさしく…これもこちらにひっぱってこさせていただきます。
某さますみません。ありがとうございましたm(_ _)m

かれこれ10年も前の作品ですので、今の揺るぎない二人とは少し感じが違うと思いますが、そのあたりはご承知おきくださいませ。
また世の中も今のように当たり前にスマホが主流な時代ではなく、まだまだ圏外と表示される場所が少なくなかった状況下でのお話設定です。ガラケー全盛時代でしたね。
再掲載にあたり、句読点や誤字(今になって気付いたといううつけ者です;;)ブログの横文字数に合わせた修正をしています。
少しだけ内容もいじりました。
2005年4月のものです。
駄文でもいいよと思ってくださる方。
もしお時間がおありでしたら、よろしければどうぞ…m(_ _)m









                  ~~ Feverish ~~



俺は今、二泊三日の撮影予定で地方ロケに来ている。
秋の特番のサスペンスドラマのクライマックスとなる撮影だ。
俺の役柄は犯人の妻の昔の恋人。
出番は少な目ながら、事件解決へのキーパーソンの一人となる重要な役どころだ。
しかもこのドラマの監督から求められる、その男がもつ独特の雰囲気をさりげなく表現してくれという、かなり難しい役だ。
ゴールデンタイムという時間枠を度外視しても、
俳優としての実力が問われる、小作品ながら社会派の辛口ドラマになる。


それにしても、本当に俺は…………
思わずため息が漏れた。
すまない。香藤。
やはりおまえが心配した通り、夕方になってかなり熱が出てきてしまった。
大事をとって、もっと早くに薬を飲んでいれば良かったのに。
俺は、今朝早く出掛けの玄関口で香藤とかわした会話を思い出す。



いつものように、いってらっしゃいのキスをしようと、何気なく俺の唇に触れた香藤が、一瞬おかしな顔で俺を見つめた。
そして小首をかしげながら眉間に皺を寄せた。

「岩城さん? 熱! 熱あるじゃん!

 夕べは何ともなかったのに…

 んあ~~っ俺としたことが不覚っ!

 今の今まで気付かなかっただなんて……

 大丈夫?

 ていうか、今熱ある自覚、ある? ど?」

そう言うと香藤は、俺のひたいに自分のおでこをくっ付けてきた。

「ん? そうか?

 そう言われてみれば……

 おまえのおでこが何となく冷たく感じる」

「ほら~~絶対にあるって! いつもは俺の方が体温高いんだもん」

俺の体のことなら、たぶん俺より何でもわかってしまうおまえ。
香藤にそう言われ初めて熱を自覚した俺。

「でも、これくらい大丈夫だ。心配するな。

 あっても微熱くらいだろうから。

 ──ん? 今の清水さんだな?

 じゃ、香藤、行ってくるから」

「ほんとに? 大丈夫? 無理しちゃダメだよ? ね?

 岩城さん、放っておくとすぐに無理しちゃうんだから~~

 山奥で二泊三日だなんて、俺、心配でたまんないよ」

「わかったわかった。無理はしないよ。

 そんな、あんまり子供扱いするな。

 おまえも、気をつけてな?」

「…うん……行ってらっしゃい」

心配そうな顔でそう言いつつ、俺の体を放そうとしない香藤。
しようがない奴だな。
チュッと、その唇に行ってきますのキスを落としてやると、香藤は渋々といった渋面でやっと俺をその腕の中から解放した。



さっき清水さんから、おまえがどんなに電話口で慌てていたのかを
聞かされた。

バカ───……

確かに携帯が圏外になってる。
仕方がない。こんな山奥じゃ。
つながらない携帯に、思いっきりイライラしまくった香藤の顔が目に浮かぶ。
気を利かせ、旅館の電話からおまえの携帯に連絡を入れてくれた清水さん。
いつもながら俺たちの良き理解者の彼女。
本当にありがたいと思う。


実は撮影が夜の撮りに入った頃、休憩時間に急にグラッときてしまった。
その瞬間、変に躓いてはかえって危ないと思った俺は傍らにあった木に手をついてしゃがみ込んだ。
気を失ったとか、倒れ込んだとか、決してそういうわけではなかった。
けれどそこを運悪く、たまたま通りかかった女性スタッフ二人に目撃され…
監督を初めスタッフの皆から、また明日もありますからと、俺には有無を言わせず宿泊先の旅館に帰されてしまった。
人の揚げ足を取り、弱味につけこもうとする輩が多いこの業界にあって、こんな生ぬるい俺に嫌味のひと言もなかった。
こんな時に体調を崩すなんて、役者としての自己管理を問われても不思議じゃない状況なのに、だ。
申し訳なさと、ありがたさと……
俺は心の中で何度も頭を下げ、明日はきっといい仕事をしようと自分を鼓舞した。


香藤と出会い、二人の時間を共有するようになってから、俺の人生の全てがうまくまわりだしたように思う。
そう、何度も思う。

香藤……

今、こんな情けない俺が、皆さんにはほんとに申し訳なく不謹慎なことだが、おまえの声が聞きたい。
俺のこととなると、途端に冷静さを失う心配症のおまえ。
香藤も今、俺の声が聞きたいと思ってくれているだろうか。
薬がだいぶ効いてきたのか、眠気が徐々に増してきた。
眠ってしまう前に香藤の声が聞きたい。
少しでいいから。
最近俺も……
ことおまえに関しては、堪え性がなくなってきているように感じる。
いい歳をした男が。笑える。
布団の中から這い出し部屋の電話の受話器を手に取った。

……やはり……やめようか──……

いや……

いくどか迷った末、結局自宅の番号をまわした。
もう香藤は帰っているだろうか。

トゥルル……トゥルル……プッ

「はい?! もしもし?!」

うっ…耳が痛い。
いつもより少し慌てた大きな声に香藤の今の状態が想像できた。

「香藤」

「岩城さん?! 岩城さんなのっ?!」

「ああ、すまん。心配かけた」

「岩城さん~~~っ良かった~~っ!!

 俺もう、心配で心配で、どうしようかと思ってたところだよ?

 何度も携帯にかけたんだ。けどつながんなくてさ……

 今時ずっと圏外だなんて、すっごい山奥なんだね。

 さっき清水さんから聞いたよ。

 でさ、岩城さんの具合が悪いって聞かされて。

 あ、ほら、今朝、熱あったでしょ。

 やっぱあれ、風邪の初期症状ってやつだったんだよ。

 俺の心配した通りだったでしょ?

 ──あ、ごめん、つい嬉しくってさ……まくしたてちゃった。

 岩城さん、今、大丈夫なの? 熱は?」

「いや、あいにく熱はまだ下がってないけど、今夜眠れば大丈夫だと思うから」

「ああっ! もう、ダメじゃん! そんな───

 でも、ありがと! 岩城さんの方から電話してくれて。

 俺、すごい嬉しいよ。声聞けて」

「香藤…」

「あ、そういや、えと、ええ~っと、ちゃんとご飯食べれた?

 薬は体に合ったの飲んだ?

 水分は多めに取らないとダメだからね。

 と、今何着てる? あったかくしてる?

 あっ、そうだ。部屋のロックはちゃんとかけた?」

次から次へと、よくこんなに口が回るものだ。
でも、そんな香藤の気持ちが嬉しい。
本当に俺のことを心配してくれているのが、この受話器を通して伝わってくる。
おまえの声。
大好きな香藤の声。
俺だけのもの。
熱のある体に染み込んで、余計に俺の体を熱くさせる。
愛しさで、胸の動悸が……汗ばんでいる俺。

「───て、ん? どした?

 岩城さん? 大丈夫?」

「ん? ああ、平気だ。

 おまえがあんまりいっぺんに聞くから、何から答えたらいいのかわからなくなっただけだ」

「へ? ああ、ごめんごめん~~そうだね、アハハハハ…

 こういうの、俺の悪い癖だよね。ごめん」

「ハハ…いいんだ。おまえの声聞いたら、何だか気が抜けて……

 安心したみたいだ」

「っ! 岩城さ~~ん! (ま~たこの人は…直球だよっ! 嬉泣)

 お、俺、そっち行きたいよっ!

 なんで瞬間移動できないんだろね!」

「バ、バカ! 何言ってんだ。

 今おまえがここに瞬間移動してきたら───

 俺はごめんだ」

「ああっ?! 何それ~~そんなこと言う? ひどいよぉ岩城さん」

「プッ、すまんすまん。

 ………と、香藤……悪いけど、そろそろ休む。

 おまえも戸締りちゃんとしろよ?」

「うん……ありがと、岩城さん。

 岩城さんもちゃんとあったかくして、ゆっくりと休んでね」

「ああ、ありがとう。おやすみ、香藤」

「おやすみ…愛してる、岩城さん」

「ああ、俺も……」

チュッ、とフレンチキスをかわし合い、お互いに受話器を置いた。
いつものように、俺が先に。
香藤。俺だって、やっぱり受話器を先に置くのは嫌なんだぞ?
解ってるか?



俺はもう、おまえを失って生きてはいけないだろう。
今の自分が、香藤とこうなる以前の俺よりも弱くなったのか。
そう問われれば、そんなつもりはないと今はきっぱりと答えられる。
常に、香藤に相応しい自分でありたい。
いつまでも、香藤が俺の存在を恥じぬよう。
俺は──……
いや、今夜はもうこれ以上考えるのはよそう。
頭をからっぽにして、耳に残る香藤の声が消えてしまわないうちに、眠りにつこう。
今夜はおまえの夢だけ見れればいい。
たれ目で可愛いおまえの夢を。

おやすみ、香藤。
 



2005.4

 
2015年11月修正





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すふらん

Author:すふらん
BLが、JUNEと呼ばれていた頃からのドップリこっち人間。
色んな作品に嵌ってきたけれど、今は新田先生の作品、
とりわけ春抱きが生活の中心。
好きな声優さんは一杯いますが、現在のマイブームはやはり森川さんや三木さん。
関俊さんは20年以上のファン。

画像は我が家の春抱きドール達♥

★すふろーぐ★2008.5.14開設

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