すふろーぐ

『すふらんのdialog』 ここは来てくださる皆さんと私の大切な出会いの場所 新田先生の作品『春を抱いていた』を中心に BL作品・声優さん・個人的趣味を綴っています

Entries

古い駄文ですが



本日のお話は2004年春のものです。
春抱きで初めて書いたSSのような気がします ← 覚えていないおバカな私f(^_^;
当時からのお付き合いの方々には 懐かしいと思っていただけるかしら^^
しかしだ…いざ、改行場所を替えたり少し手直ししながら読み返してみると、なんかもう、マジ自分で照れちゃった(笑)
こんな駄文ですが、もしお時間あれば読んでやってくださいませ(〃▽〃)

※昔の作品ですので 当然 SSの内容も、互いが互いのパートナーとして、深い絆を感じさせるような現在の二人じゃない頃の二次創作になってます。
その点はご理解くださいね。



      ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   






       ~~ too much  恋しくて ~~





 [二度と、離さない………愛してる!]


香藤演じる主人公が、ヒロインの肩を抱き寄せ唇をそっと重ねてゆく。
抱き合う二人、徐々に深まるキス………


 プッ ────


TVのスイッチをオフして、俺はテーブルの上にリモコンを戻す。
カタン、と、無機質な音がリビングに響いた。


「……」 


今夜 帰宅してから何度目かになるだろうため息。
香藤のいないリビング。
もう、エアコン暖房もいらなくなった季節だというのに、今夜は少し冷える。
もし今 あいつがここにいてくれたとしたら、
このリビングの温度も、もう少し温かく感じられるのだろうか。
何も映らなくなった暗い画面を見つめながら、俺はふとそんなことを考えた。



最近のメディアに踊る“演技派若手俳優 香藤洋二”
ん………俺をこんな気持ちにさせるくらいだ。
そんなコピーも、あながち大袈裟な話でもないってことか。
苦笑いに口元を歪めながら、今度はそんな風に感じた自分に少し呆れていた。

いつもの俺なら、こんなドラマを観たからといって、
別段気にとめることもなく 互いの仕事なんだからと割り切ってしまえている。
第一 香藤の演技レベルが上がり、役者としてそんな評価をされる。
それは香藤自身のみならず、俺にとっても何より嬉しいことだから。

だが、今夜はいくらドラマの中の役どころとはいえ、
他人の肩を抱く香藤の姿など、ハッキリいって俺は見たくなかった。

その理由は………解っている。
ここのところ、まるで両事務所で示し合わせたんじゃないか?と、
思わず疑いたくなってしまった程、互いのスケジュールに微妙なズレがあった。
仕方がないことだと割り切ってはいたものの、これだけ微妙に
何度もずれまくられると、さすがに俺も苛ついてきた。
こういう状況が続くと いつも怒りまくる香藤は勿論言うに及ばずだった。
一週間余り 一度もお互いの顔を見ていない。
そのすれ違いの有様を上げ出したら、余計にため息が止まらなくなるのだが。



一昨日はこんなことがあった。
当日になって急なスケジュール変更があり、
夕方からのTV局での打ち合わせとインタビューの予定が昼過ぎに繰り上がった。
え?と、ふと自分の記憶にひっかかりを覚えた俺は手帳を確認してみた。
そこには、まさにその時間帯 香藤がそのTV局でドラマの収録。
と 香藤の字で記されていた。

いつも自分のスケジュールが決まると、いそいそと俺の手帳に書き込みながら、
いついつ、どこどこ、一緒のTV局だよ!などと満面の笑みのあいつ。
俺はいつも ただ呆れ顔で香藤を無視してやるのだが。
ああいう香藤の嬉しそうな顔を思い出すと、つい口元が緩む。
香藤…

少しの時間でも、今日こそ香藤に会えるかもしれない。
そんな淡い期待をしてしまった俺は、ちょっとしたイタズラ心から
あいつを驚かしてやりたいと、それを香藤に知らせず局へ向かったのだ。
だが蓋を開けてみれば、同じ局内に香藤がいることがわかっていながら、
時間が押しまくり連絡など一切取れずじまい。
気がつけば 次の打ち合わせ場所へと移動する清水さんの車の中で、
俺はいつのまにか眠ってしまっていた。
わずかな時間の逢瀬すらかなわないまま一日は終わり、
結局俺は、深夜を過ぎて自宅ではないホテルのベッドの上に
疲れきった体を投げ出したのだった。
もしこのことを香藤が知ったら、きっと怒るだろうな…



そう───
日増しに強くなるこの苛つきの原因が、この 香藤に会えないという現実から
来ていることは、もう認めざるを得ない事実だった。
そのことに 俺はとっくに気付いている。
あんなTVを観ただけで、こんなに心乱されている俺。
もう、誰というより 自分自身に言い訳ができないのだ。
俺に向けられる香藤の情の深さ以上に、俺の、香藤へと募る
この気持ちの強さの方が、たぶん今は大きくなっているのだと思う。
そしてそんな俺自身を、今は素直に認められると思っていた。

香藤。
お互い、こんなに忙しいスケジュールだというのに、
お前は暇を見つけてはしょっちゅう俺にメールを送りつけてくる。
お前のその気持ちは嬉しいし、口では邪険にしてしまう俺だが、
本当はすごくありがたいと思っている。
だがその内容が、その…最近は、その本文のほとんどが、


 『岩城さん、会いたいよォ~~!(ToT)』


……バカ

俺だって会いたいんだ、おまえに。
香藤…
会って、おまえのその熱い体温を肌で感じたいっ。
メールをあまり返さない俺。
すまん。
携帯に不慣れな俺が、百面相しながらカタカタ打つの
人に見られるのが恥ずかしいんだ。
最近一人になれる時間が極端に少ないから、返信しようと思うと、
どうしてもそんな風に人目を気にしてしまうんだ。
お前はきっと人目もはばからず…
やはり少し頭痛がするな。



しかし、そう願っていた俺たち、いや、この場合俺にか。
ちょっとしたハプニングがあった。
昨日の3時頃のことだった。
その日もご多分に漏れず、込み合ったスケジュールを何とかこなし、
俺を乗せた清水さんの車は ある番組にゲスト出演をするべく、
入り時間ギリギリになり ようやっとその局の駐車場前へと到着した。
思わぬ場所で、道路工事による渋滞に巻き込まれてしまったからだ。
そして清水さんの車がまさに駐車場内に進入しようとしたその瞬間。
何気なく、ふと向けられた俺の視線の先に小さく映った見慣れた車。
金子さんの車だった。


『っ?! 香藤っ?!』


だがその後部座席に座る、愛しい男の明るい後ろ髪を確認したと同時に、
金子さんの車はさらに小さくなり、建物の影へと見えなくなってしまった。

すぐに携帯をかければ良かったのに、俺はそうしなかった。
出来なかったのではなく、かけなかったのだ。
お互いの仕事の性格上、ふだん電話をかけあうことにも気を使って
我慢している俺たち。
共に移動中だということがわかっていれば、せめて遠慮なく、
携帯電話という手段を使って話す事くらい出来たはずなのに。
ここのところ、声さえろくに聞いていなかったのだから。


「岩城さん?あのぅ……どうかされたんですか?」


後部座席で大きく体を捩じらせ振り返った俺に清水さんも気付き、
わざわざ尋ねてくれたというのに、だ。


「いえ、何でも。何でもありません」



俳優としてそこそこの成功を収めている俺は、普段通りの顔をして
毎日与えられた仕事をこなす。
けれど、心の中ではこんな──香藤への押さえ切れない思いが渦巻き、
精神の均衡がいっぱいいっぱいになってしまっている──などと。

いくら清水さんが俺たちの関係を最初から知る理解者で、
こんな業界の中、限られた数少ない信用できる人間なんだと解っていても、
男である限り、こんな情けない自分は晒したくはない。
第一 いつも自分の為に誠意を尽くして奔走してくれている清水さんに、
こんな俺を知られて余計な心配などかけたくもなかった。

清水さんも金子さんもベテランの敏腕マネージャーだという以前に、
本来の人間性じたい、気配りの出来る優しい人柄だ。
俺たちは恵まれた環境にいる。
そういう意味では本当にラッキーだとしか言いようがない。



昨夜は眠れなかった。
体は疲れているはずなのに、自分のとった行動と本心のギャップに
たまらなく苛立ちを感じて後悔の念にかられた。
そして気付いた。
俺のこのどうしようもない意地やプライドが邪魔をして、
自分を常識ある大人?節度ある俳優?
またそんなくだらないものを正当化したんだということを。

俺はまた……

香藤という 今や俺にとって唯一無二の大切な存在を得て、
少しずつ、何度も生まれ変わった俺。
虚勢を捨て、少しずつではあるが自分の中の素直な自分を
認められるようになってきた。
そう思っていたのに。



今日は比較的ゆったりとしたスケジュールだった。
だが不安定な心に寝不足も手伝ってか、気分は最低だった。
香藤は昨日から明晩まで地方ロケでこの家には戻らない。
そして、明日の昼過ぎから他番組の地方ロケの俺。
また、すれ違い。
俺が今夜家に戻っていることはたぶん香藤も知っているはずだ。
電話くらいかけてよこすだろうか。

TVの音が消され、シンと何の音もしなくなった家の中。
俺はゆっくりとリビング内を見渡した。
窓を閉めている限り、時折ご近所の犬の鳴き声くらいしか聞こえてこない
閑静な住宅街。


────────────


ふいに、ブルッと寒気を覚えた。
ダメだ。
思考がマイナスへと傾いていくのを止められないっ。
かつて味わったことのある恐ろしい想像を俺はまた…
またバカみたいになぞりそうになっている。
思い出しただけでもゾッとするというのに。

あの、インレポの撮影後。
香藤演じる公村の死を体験したその夜。
俺は眠れない夜を過ごし、情けないことに
貫徹で帰宅した香藤の腕に縋って泣いたことがあった。


「あんな思いは、二度とごめんだっ!」


と。
いい歳をして、あの腕に抱き寄せられやっと体の震えを止めた俺。
あの時と同じ感情が呼び覚まされる。
思い出したくもないあの恐怖感。


『嫌だっ』


心臓の鼓動が徐々に早鐘を打ち出す。
打ち消そうとして頭を振ってはみたものの、消えない。
苛つきが完全に不安と恐怖感へとすり替わってしまっている。

どうしたっていうんだ、俺は。
いつのまにこんな…
教えてくれ、香藤。
俺は、疲れているだけなのか?
香藤。

頭がガンガンしてきた。
俺はその場にじっとしていられなくなり、思わずソファから立ち上がった。


 カチャ ガチャ


『──っ?!』 


 カチッ バタン!


立ち上がった瞬間に耳に届いた音。


ドクンッ!


俺は冗談抜きで、心臓が口から飛び出るかと思った。


『っ?!』 


 パタパタパタパタパタ………ガチャ
  
そして 

 
「岩城さんっ!!!」


「っ!! 香藤っ!!」


リビングに飛び込んで来た男は唖然とする俺の体に、
ダイビングさながら有無を言わせず飛び付いてきた。
そのあまりの勢いに二人してソファに倒れ込む。
香藤は性急に俺の唇を貪るように奪った。
きつく抱きしめられて息も出来ない。
でも、もうそんなことはどうでも良かった。
酸素なんて、後でまとめて吸ってやる。
今ここに香藤がいる。
どんなことがあっても香藤が俺の側にいてくれる限り、
俺は生きていけるのだから。

お互いの舌を激しく絡め合わせながら貪り、狂おしく、かつてない程
きつく互いを抱きしめ合いながら、俺はそんなことを思った。
だがそんな風に考え事ができたのは最初のほんの一瞬。
すぐに何も考えられなくなってしまう。

酸欠で頭が朦朧となってきた頃、ようやく俺の唇は解放され
せわしなく酸素を取り込む。


「ゴホッ、ゴホッゴホッ ハッ、ハッ、ハァッ 

 か、香藤~~~っ! 

お、俺を殺す…つもりか?!」


ともかく、口ではしっかりと怒ってやらなければ。


「ご、ごめん!岩城さ~~ん」


もうっ…
必死になって謝りまくる香藤の情けない顔を、
俺は咳き込みながらも更にきつく睨みつけてやった。

しばらくしてやっと俺の呼吸が整ってくると。
ん?
何を見ている?
香藤はそれ以降何も喋らず、そのままじっと俺を見つめている。
俺は不思議に思った。
そして、


「…岩城…さん?」


困ったような声音と香藤の顔。


「ん? なんだ?」


香藤の妙な態度に、俺は初めて自分の状態に気付く。 
俺は。 

不思議なものだ。
自覚した途端、急に視界がぼやけた。
泣いていたつもりなどなかったのに。
香藤が俺の目から流れ落ちたものを、羽のようにそっとその唇に吸い取る。 
俺の瞳を真っ直ぐに見つめてくる 恐いくらいに真摯な表情の香藤。
この涙のわけを求めているのか?

だが、俺はといえば。
こんな時におかしいのだが…
俺の全身にかかる香藤の体の重みがここちいい。
と、そんな事を思っていた。
俺は変なのだろうか。


「岩城さん?」


「…おまえが…あんな…………するからだ」


「へっ?」


途端、訳が解らないといった表情を向ける香藤の首根っこを、
俺はグイッと自分に引き寄せた。
香藤の体臭が俺の鼻腔を掠めて体のしんをジンと痺れさせる。
さっきまでの不安定な自分がまるでウソのようだ。
言葉にならない強い思いをあらためて自覚する。

もう…本当に降参だ。
今度こそ自分の気持ちを偽らず、もっと素直な自分になろう。
変な意地なんてどぶに捨ててしまおう。
こんな苦しい思いをするなんて、二度とゴメンだ。
おまえのことが愛しくてしようがない俺。
そんな自分を、俺はもうごまかしたくない。
清水さんに笑われたってかまわない。
おまえの素直さを少し俺にも分けてくれるか?
香藤、また手を貸してくれるか?


「香藤、おかえり」


「うん!ただいま、岩城さん! 

 あ………と、ずっと会えなくて淋しかったぁ!」


互いに極上の微笑を与え合う。
俺だけの───香藤。








おわり

2004年4月 
2014年9月 再掲載にあたり若干の手直しをしました




ご訪問並びに拍手&拍手コメントありがとうございます!!m(_ _)m
この記事の拍手コメへの御礼お返事は 順次  ↓ の続きへどうぞv



>9日20時前のHさん

こんにちは(*^。^*) 嬉しいお言葉ありがとうございます(〃▽〃)ゞ 10年も前の自分の作品をアップしなおすなんて暴挙(笑)だいぶ勇気がいりましたが…f(^_^;
少しでも楽しんでいただけたようで私も嬉しいです!! あの頃の二人、みんな大好きですもんね(^_-)☆  で、ほんと。私も一ヶ月くらい経ったような気がしてます;;
うちはいよいよ正念場です。11月…きっと笑顔でまたお会いできますように( ̄人 ̄)

>9日23時10日17時半の I さん

こんにちは(*^。^*) 身に余るお言葉に恐縮ですf(^_^; 楽しんでいただけたようで良かった!! 嬉しいお言葉ありがとうございますm(_ _)m
何をおっしゃいます?! I さんこそ素敵な作品を書かれているじゃないですか!! 私こそ楽しませていただいてます♪ ご無理のない程度にまたお願いしまーすo(^-^)o
で、ああ~ダメでしたか;;残念(>_<) あ、彼らのサイトに先行予約が今日11日からとありましたよ?! まだご覧になっていなかったら チェックしてみてくださいね。サンキュ!!

>11日1時前のYさん

こんにちは(*^。^*) Yさん? いつも申しますが、ご無理は決していけませんよ? 体調が悪い時にはチョロチョロでなくしっかりと休んでくださいね!!(* ̄人 ̄*)
あの二人が現在にいたるまでの道のり…コミックを読み直すたび胸に迫ってきて心を熱くしてくれますよね!! 私も手直ししながら懐かしさで胸いっぱいでした(〃▽〃)
またそのうち載せますので良かったら読んでやってください。ご自愛を!!(*^人^*)



*Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

*Trackback

トラックバックURL
http://5hrdkclcxxspr18.blog25.fc2.com/tb.php/971-d6d03b88

左サイドメニュー

プロフィール

すふらん

Author:すふらん
BLが、JUNEと呼ばれていた頃からのドップリこっち人間。
色んな作品に嵌ってきたけれど、今は新田先生の作品、
とりわけ春抱きが生活の中心。
好きな声優さんは一杯いますが、現在のマイブームはやはり森川さんや三木さん。
関俊さんは20年以上のファン。

画像は我が家の春抱きドール達♥

★すふろーぐ★2008.5.14開設

カレンダー

06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

最近の記事

月別アーカイブ